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5月2日 牛タンと猫の歯茎と中学二年生・前編

僕が初めて牛タンを食べたのは中学二年生の冬。

友人の父親の知り合いの店に連れて行ってもらったときだ。

名古屋駅前のビルの中にある店だったからそこそこの高級店だったのだろう。

1991年。バブル真っただ中という時代背景を考えると、今となっては高くて食べられないような肉を出していたのかもしれない。

しかし十四歳のコドモに肉の善し悪しははっきり言って無関係だ。

重要なのは友達四人と夕食をたべるということ。

それだけで浮かれまくりはしゃぎまくりだった。日が暮れてから友達と外で遊んでいる、ということだけが僕のギアをあげていた。

このギアのせいで当時の僕の傍若無人ぶりに拍車をかけてもいたのだろう。

ひととおり食事を堪能したあと、店長は丸く薄くスライスされ、独特の紋様浮かべた肉を持ってきた。そして、これ何の肉かわかるかな、といった。「驚くぞー」と。

僕ら一同は「わからない」と顔を見合わせた。

それがタンだった。

にやにやする店長。

「驚けガキども。タンなんぞ食べたことないだろう。ガキの相手をするときはこれにかぎるぜ。どこの部位かおしえてやったらみんな『ええー、キモチわるーい』っていうんだよなあ。ああ楽しみだ楽しみだ。今宵も驚きの吐息をきかせておくれ」

今風にいうなら店長のすべらないネタだったのだろう。

「それは牛のベロなんだな。」

誇らしげに言った。

<つづく>

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