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二月十三日 回し飲み 続き

はじめて聞いた言葉だった。

「マワシノミ?一体何なんだろう。“しようぜ”ってことは“一緒にやろう”ってことだろ。僕もそのメンバーに入っているのだろうか。いやだよ変なことに巻き込まれるのは。早く家に帰ってドラゴンボール観なきゃいけないんだから。」

かめはめ波が脳裏をよぎりつつも、「マワシノミ」のインワイな響きに思わず身構えた。

自転車をこぎながら、先輩がグビとコーラを流し込んだ。そして隣を走っている太田君に缶を渡した。「ああなるほど。回して飲むってことか」と気づいた。同時にこの回し飲みに対する抵抗感があらわれた。はっきりいって嫌だった。

僕は潔癖症ではないし、当時は地面に落ちたうまい棒も平気で口に入れていたけど、回し飲みは嫌だと感じた。それに奢ってもらうというのも好きじゃなかった。今でもそうだ。遠慮してしまうのだ。遠慮してちゃ気持ちよく飲めないじゃないか。

しかしその場の回し飲みを受け入れるていどの社交性は備えていた。先輩の言った回し飲みには「兄弟で杯を交わす」といったような絆を深め合う儀式然とした何かが含まれているように思った。怖い先輩とか逆らえない先輩とかいうのではない。どちらかというと弱弱しく、みんなで庇ってあげなきゃいけないようなタイプの人だった。そんな先輩の好意を断ることはできなかった。ただの格好付けかもしれないが理解できる範囲の行動だろう。

夜7時頃だったから飲む振りをすればよかったんだが、きちんと飲んだ。当時は真面目な性格だったのである。

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