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十二月十九日 勝利の美酒は静かに傾けるべし

 おそらく、僕が幼少時に剣道を習っていたことと、現在の好みとに関係性ない。

毎年十一月三日には剣道の日本選手権が行われる。テレビで剣道の試合が放映される唯一の日だ。スポーツニュースでも三秒くらいはうつる。そのたびに思う。なんて格好いい姿なんだろう、と。

試合終了後、勝利者も敗北者も互いの健闘を称えあう間のように礼をし、ひたすら静かに競技場をでる。傍らに着座し、面と小手を外し、そこでさらに礼をする。相手が外し終えるのを待っていてでも必ずする。勝てばうれしいに決まっているし、負ければ落胆があるのだが、それでも灼熱の心は封じたまま静寂の中に身をおく。苛烈極める試合の後とは思えない。青い炎のようだ。見た目は静かでも温度ははるか高くたぎっているのである。

普段よく目にするサッカーだの野球だのバレーだのバスケだのの狂乱振りとの落差は、滑稽という名の物差しでしか計れない気がする。喜びを体全体で表す様は子供じみていて短絡的。ファンが道頓堀川にダイブするのがとてもよく似合っている。

剣道と同じ国技でも柔道はもはや白人的享楽主義に傾注してしまっている。一本とってガッツポーズするのがダサい。「残心」という言葉は柔道にはないのだろうか。

チームプレイと個人競技の差はあるかもしれない。陸上競技なんかはわりに「静かに喜ぶ派」だろう。ライバルに駆け寄る姿なんかもみられるし。

またプロ化しているスポーツとは等しく語ることはできないだろう。プロスポーツ選手は、極論すれば人気を得ることが仕事であって、だから、ファンと一緒に踊るのが目的なのかもしれない。

ニューヨークヤンキースの松井秀樹がホームランを打ったときは剣士のような格好よさがある。悠然とダイヤモンドを回る姿には侍の魂を感じる。

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