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十二月六日 イガグリ

父方の祖父が静岡県富士市の山奥に住んでいて、そこには栗の木があった。

栗の木だけじゃなく桃やみかんもあったしキウイの棚もあった。果物のみならず野菜も豊富に育てていた。作物を育てるには十分な広さの土地があったようだ。

 僕は祖父にとって初の内孫ということもあり、とてもかわいがられた。そのせいだとおもう。幼いころからよく祖父の家にいった。行くことが義務だった。習慣化していたのでかなり大きくなるまでその、言ってみればある種の祖父母孝行に疑問を抱かなかった。余談だがその度に小遣いたんまりもらっていた。お年玉袋なんて妹と厚みが違った。

 この山奥の家へよく行っていたので豊かな緑というのは僕にとってはめずらしいことではない。

「木にカブトムシがとまっているのをみたことがない」なんて聞くたびに、自分の育った環境はほんの少しだけ珍しいのだと気づかされたものだ。

 

 秋も深まると、栗の木から実が落ちる。まだ緑色のイガのままのもあれば、茶色く変色してからおちてくるのもある。僕はそのイガから栗を取り出す。

 取り出し方はこうだ。左足でイガが半分隠れるくらいに固定し、そして右足を左足にくっつける。両足がイガに乗った状態になる。体重はかけない。その後に右足をずらす。ちょうどイガの表皮を剥ぐような力のかけ方で横方向に動かす。するとなかから三粒の栗が顔をのぞかせる。

こういったことは当然に行っていたのだが、今考えてみると、お行儀がわるい。かなり悪い。食べ物を足蹴にするなんて、礼儀にうるさい家なら鉄拳ものだろう。

親父のやつだろうな、教えたのは。まあおかげでイガの中に栗の粒が三つ入っていると知ることもできたわけだ。知らない人も多いのではないかな。

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