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はたらく青年

はたらく青年

原田宗典 / 中央公論社

【エッセー】〔essay〕随筆。随想。

 うむ、なるほど。なるほど?随筆ってなんだ?

【随筆】筆者の体験や見聞を題材に、感想をも交え記した文章。

 ははあ。要は日記みたいなものですな。

【随想】人生や社会の一断面について心に浮かんだ着想をテーマに、学問的な考察を加味してまとめた文章。

 おお?なんか仰仰しい。随筆とはまったく違う。何と言うか格が違う。随筆が言わば単なる感想文であるのに対し、随想は凄いじゃん、社会を斬り!人生を語る!それに何?学問的な考察しちゃうの?これと随筆をまとめてエッセーと呼ぶのは無理があるなあ。

【小説】〔ノベルの訳語〕散文による作品の一形態。作者の奔放な構成力によって構築された虚構の世界の中に登場する人物の言動や彼らをめぐる環境・風土の描写を通じ、人間の生き方や社会の在り方について作者の考えを強い感動や迫真性を持って読者に訴えようとするもの。

 ふぅ、やっぱ高尚だな。読者は筆者に敬意を払い読まなければなるまい。

【ノベル】〔novel(長編)小説。

 おい!小説がnovelの訳語でnovelの解説が小説ってそりゃあねえだろう。

 さて、『はたらく青年』はまぎれもなくエッセイだがかなり小説に近い、というか小説っぽい文章をしている。まるで連作短編のように時系列でまとめられています。主人公の成長には弁証法が息づいており、感動すら誘う。何より「描写」がある。

 で、描写ってのを簡単に(自分流に)説明するなら、“感情”を“行動”で表現するというところでしょうか。例えば、「どきどきした」という感情を「気がついたら手のひらに汗をかいていた」という行動で示す。センスが問われるんです。今あげた例は最低ですよね。使い古されてるから。

 小説というのは基本的に描写で構成されているんです。一度注意して読んでみてください。「感動した」なんて文言はほとんどないはずですよ。どのような思いを、どのような描写で表すことができるか、そこが作家の腕の見せ所でしょう。ストーリーや構成は映画や漫画にもあるけど、文章による描写は小説のみに存在する要素ですから。

 今日は小五月蠅いことはいいか。

 原田宗則のエッセイは面白いです。笑えます。はっきり言って、小説よりエッセイにこそ能力を発揮する作家です。本人もこの事態に頭抱えてそうですが、仕方ない。馬鹿になって読み散らかすのが正しい読み方でしょう。

 できるなら適量のアルコールと映画一本分の時間を用意してください。ほろ酔いで笑って、馬鹿にしてください。

 お勧めは……

『東京困惑日記』より「歯がイタイ」

『少年のオキテ』より「ケンベン困惑騒動」

『十七歳だった!』より「十七歳のファッション」

 金曜の夜にでも読めばウィークデイの悩みや失敗も自身の持ちネタに見えてくるほど、痛快です。 

 というわけで気持ちよく酔っております。今宵はウィスキートニックとカプレーゼ。

 だけど、一抹の切なさがあるんだよねえ。

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